先週末、伊香保温泉へ1泊2日で旅してきました。
夕方に東京を発ち、宿泊予定の「徳田屋旅館」に到着したのは夜8時前。
気温は10℃程度と、あたかも季節が一月ほど逆戻りしたような肌寒さでした。
宿泊する部屋に荷物を置き、少し落ち着いたところで、食事部屋へと移動します。
夕食は、お膳に所狭しとおかずが並べられていて、とてもボリューミー。
なかでも特に「豚の角煮」は同旅館の名物で評判なのだそう。
身もトロトロで、美味しくいただきました。
館内の温泉は、宿泊中24時間いつでも入れるようになっています。
伊香保の温泉は大別すると、茶褐色の「黄金(こがね)の湯」と無色透明の「白銀(しろがね)の湯」の二種類あるそうですが、同旅館の温泉は後者の方。
「メタけい酸」という美肌効果のある成分を多く含有しているのだそうです。
朝目が覚めて、さらにもうひと風呂浴びたところで、朝食の時間。
朝食もまた、さまざまな品目のおかずが並べられ、とてもボリューミーな内容です。
特に「牛蒡の胡麻味噌和え」は、牛蒡独特の泥臭さもなく、上品な味わいで美味しくいただきました。
(どうやら口コミサイトでも評判の一品のようです。)
その後、チェックアウトの時間まで、腹ごなしも兼ね少し散歩へと出掛けました。
旅館から10分程歩いたところに、有名な伊香保温泉の石段街。
てっぺんにある伊香保神社まで365段あるという石段を上がるのは、(時間の都合上、半分で引き返しましたが…)なかなかいい運動になりました。
チェックアウトして次に向かった先は、「竹久夢二伊香保記念館」
歴史を感じさせる、レトロな洋館の佇まいが特徴的な施設です。
竹久夢二については、絵描きさんだったという程度の知識はありましたが、他にも詩や童話を創作したり(むしろ本人はこちらの方がやりたかったのだそう)と、実に多才な方だったようです。
本館「黒船館」1階にある「夢二ホール」では、毎時30分に、映像による夢二の生涯の紹介と、アンティークオルゴールの演奏があります。
夢二がここ伊香保の地に縁を持つようになったのは、この地に住む女性のファンレターがきっかけになったのだとか。
何度も訪れるうちに、ついには自身のアトリエを建てるほどまでに、お気に入りの地になったのだそうです。
館内の至るところに、夢二が生きた大正時代の貴重な調度品が置かれているのが印象的でした。
夢二は48歳の時に、かねてからの念願だったという外遊を行ったのですが、外遊先で病気を患い、それが仇となって49歳の若さでこの世を去ることとなります。
その時に描いたのが、写真の「青山河(せいざんが)」という油絵。
「早く日本に帰って、伊香保にある榛名山にのびのびと寝そべりたい。」という心境で描かれたものだそうです。
老舗旅館での温かいもてなしに触れ、そして大正時代を生きた芸術家の生涯に思いを馳せ、ゆったりと充実したひとときを過ごしてきました。