日本式「ジューンブライド」

現在「あやめ祭り」を開催中の、「水郷潮来(いたこ)あやめ園」(茨城県)、「水郷佐原(さわら)あやめパーク」(千葉県)の2つのあやめ園に行ってきました。

まず訪れたのは、「水郷潮来あやめ園」
東京駅から高速バスで約80分で「水郷潮来バスターミナル」で下車、その後、路線バスで約10分、あやめ園の最寄り駅である潮来駅へと向かいました。

園内は、紫、白、黄色の三種の色のアヤメが満開を迎え、見頃の状態となっていました。
恥ずかしながら実は全く知らなかったのですが、アヤメ科の植物として総称されるものには、アヤメ、カキツバタ(杜若)、ハナショウブ(花菖蒲)があり、それぞれ花の特徴、咲く時期が少しずつ異なっているとのこと。
6月の今位の時期に咲くのは、ハナショウブになるのだそうです。

船着き場には「潮来の伊太郎像」なるものが設置されており、そういえば昔、そんな名前の歌があったよな、ということがふと思い出されました。

そして、この祭りでのイベントのメインの一つは「嫁入り舟」
こちらは、祭りの期間中の週末に行われているもので、花嫁さんが白無垢姿で手漕ぎの「ろ舟」に乗り、大勢の観客に祝福されながら、船着き場で待つ花婿のもとへと向かうというもの。
日本全国から、最近結婚したもしくは結婚予定のカップルの応募により当選した方々が、同イベントの主役になっているのだそうです。
嫁入り舟には、囃子を演奏する芸座連の「ろ舟」も併走し、それが周りの「和」の景色ともあいまって、古式ゆかしい雰囲気を醸し出していました。

さすがに今でこそイベントでしか見られないものの、水路の多かったこの辺りでは、昭和30年頃位までは、嫁入り道具を運送するためということで、実際に生活の中に根付いていた光景だったようです。
このような形で結婚を祝ってもらえるのなら、それこそ一生ものの思い出になりそうです。

ひとしきり雰囲気を堪能した後は、シャトル船に乗り、もう一つの「あやめ祭り」開催中の「水郷佐原あやめパーク」へと向かいました。
船頭さんの話によると、こちらのシャトル船の運行は、潮来と佐原のそれぞれの船会社の二社が手を結び、どの位需要、収益があるものかどうかをようすを見ながら、今年からお試しで始めるようになったものなのだとのこと。

30分程度の船旅でしたが、途中水門をくぐったり、水路の両岸の景色を眺めたりなど、なかなか楽しい船旅でした。
潮来ー佐原間は、鉄道はあまり本数が出ておらず、かつ佐原のあやめパークの方は駅から会場までバスで30分程度掛かるので、両方訪れたいという場合、重宝するのではないかと思われます。

「水郷佐原あやめパーク」は、入場無料の潮来のあやめ園とは異なり、800円の入園料が必要となります。
園内は、日本全国のさまざまな品種、色のアヤメ(約400種あるとのこと)が整然と咲き誇っていて、こんなにたくさん種類あるものなんだ、ということに驚かされました。
これを維持するには、いろいろコスト、手間もかかるだろうし、入園料が必要となるのもさもありなんと感じます。

潮来の方は、古式ゆかしい日本の厳かな和を感じさせる雰囲気であったのに対し、こちらの方は、さまざまな種類のアヤメとハス、そして園内に張り巡らされている水路、そこに浮かぶザッパ舟という光景。
さながら極楽浄土を想起させるような、幻想的な雰囲気を醸し出しているように感じました。

残念ながらスケジュールが合いませんでしたが、祭りの会期中、こちらでも「嫁入り舟」イベントが行われるようです。
潮来の方とはまた違った趣のものが見られそうです。

帰りは、あやめパークから発車するシャトルハスに乗り、佐原駅へと向かいました。
どうやら江戸時代に日本地図を編纂した伊能忠敬のゆかりの地のようで、駅前には彼の銅像、駅構内では彼にちなむゆるキャラ?が、電車に乗る人達のお見送りをしていました。

昔の日本の街並みと、生活のようすを思い起こさせられるお祭り。
願わくば、いつまでも残り続けていてほしいというように感じました。