よわに嵐の吹かぬものかは…

中野のワールド会館2階にある「中野・坊主バー」に行ってきました。

きっかけは、たまたま中野の情報について発信されているこちらのブログサイトを見かけて、ちょっと気になったから、というもの。
中野に住んでもう9年になりますが、今までそんなバーがあったなんて露知らずでした。

そして更に気になったのは、2022年の1月15日をもって、18年続いたお店が閉店になるとのこと。
閉店してしまう前に、ぜひ一度訪れておきたいと思い、行ってみることにしました。

ワールド会館外観
2階にある「坊主バー」入り口

中野ワールド会館、外観はまるで廃墟さながらのおどおどしい、カオスな雰囲気。
初めてだと、建物に入るのもちょっと躊躇われる感じです。

お店の入口にある看板
やはり閉店の噂は本当だったようです。

お店を訪れたのは、営業最終日1月15日の夜10時。
大体10人強位の人数が入れば満員という位の広さでしたが、訪れた時にちょうど1席空いたようで、何とか入ることができました。
やはり最終日ということもあってか、お客さんも結構訪れていたようです。

オリジナルカクテルのメニュー表

空いていたカウンターに通されると、マスターからドリンクのメニューを手渡されます。
オリジナルカクテルのメニュー表は、さながら仏典のような装丁。
ディティールまで拘られているようです。

カクテル「極楽浄土」
「極楽浄土」 のメニュー表

オリジナルカクテルの名前は、どれも仏語にちなんだものになっており、大体10種類程度ありました。
ただ少し残念だったのは、閉店することが決まったひと月前から仕入れをストップしてしまったため、カクテルは2種類しか用意できない、とのこと。
閉店セールということで、全品半額にしているのは、その辺りの埋め合わせなのかもしれません。

ということで注文したのは、「極楽浄土」という名前のカクテル。
抹茶味がベースのカクテルです。
メニューの写真だと、本来オレンジ色の成分のものもあるようなのですが、これも仕入れをしなくなった影響なのか…?

お作法としては、召し上がる前に、自分の「煩悩の数」だけかき混ぜる、のだとか。
これがメニューに書いてある「よくよく三界流転してから」ということなのかも…?
まあここは郷に従い、百八回かき混ぜてからいただきました。

お店の様子 その1
お店の様子 その2
マスターは真宗の僧侶だそうですが、結構いろんな宗旨宗派ごっちゃまぜという感じ…
一つに固定してしまうと繁盛しないから、だそうです。
お店の様子 その3
仏教関係、その他の雑多な書籍も置かれていました。
お店の様子 その4
18年間で、さまざまな有名人の方が来店されていたようです。

同店のマスターは、浄土真宗大谷派の僧侶の肩書を持つ方。
50歳を過ぎてから脱サラし、仏門に入られたとのこと。
脱サラ前に、何宗になるか十分検討されたそうですが、開祖である親鸞聖人の人柄に惹かれたこと、他力の教えなら自分でもできそう、等の理由で浄土真宗を選ばれたのだそうです。
基本、朴訥とした話し方をされる方ですが、時に少し考えさせられるような話題を振られたり、関西人ならではのユーモアを交えた話しぶりが印象的でした。

「坊主バー」は最初、(今はもうそのお店はないそうですが)大阪の方で携わり、現在の東京・中野に店を構えるようになったそうです。
僧侶の方の中にも、バーを経営してみたいと希望される方は意外といるようで、同様の形態のバーもあったようですが、悉く長くは続かなかったとのこと。
マスター曰く、その理由としては、そもそも経営のノウハウがないとか、本業の腰掛け程度でしか考えていなかったから、だとか。
そんな中、18年お店が続いたというのは、マスターの努力の賜物といえるのかもしれません。

今回閉店に至った理由も、決して経営難となったからではなく、(詳しく書くのはあえて差し控えますが、)のっぴきならない事情でそうせざるを得なくなってしまったから、とのこと。

数カ月後には、千葉県の市川市の方で、新しいお店をオープンする予定なのだそうです。
そちらでは、今とは全く形態を替えることも検討中だそうで、またかつてはやっていた、料理メニュー(「煩(ぼん)カレー」なるメニューもあったのだとか)も復活させるかもしれない、とのこと。
なお、オープン予定日は、お釈迦様の誕生日の4月8日を目標にされているとのことです。

「佛教タイムズ」という仏教業界全般の記事が載った新聞
こんな新聞があったなんて全く知らなかった…
中野・坊主バーのロゴが入った「爪楊枝入れ」
「今日で不要になってしまうから」と記念にいただきました。

ひとしきお話しした後、少し名残惜しい感じで、夜1時に退店。
お店の最後の瞬間に、一緒に立ち会えることができてよかったと思っています。