大量消費時代の寵児!?

2014年2月10日

今月から森美術館で開催中の、『アンディ・ウォーホル展』に行って来ました。

今回のものは「国内史上最大の回顧展」と謳われていて、私のように彼のことを何も知らない人でも「入門編」として楽しめるとのこと。

そんな知識ゼロの私が感じたのは、マーチャンダイズ(商品宣伝)、マスプロダクション(大量生産)な当時のアメリカの象徴のような人だった、という印象です。
60年代は、「シルクスクリーン」をはじめとする独自の技法を駆使しての作品の量産、「キャンベル・スープ」の缶やマリリンモンローなど、卑近なものや話題性のあるものをモチーフとして描いた「ポップ・アート」。そして自身の作業場を「ファクトリー」と呼び、複数人の芸術家を囲み、工場製品の如く作品を大量生産する。
アーティストというと、何となくアトリエに一人で篭って黙々と作業をするという印象がありますが、そういうものとは全く対極の位置にいる人だったようです。
70年代になると、これからは「ビジネスアート」の時代だと標榜し、著名人をはじめとする多くの人達から、注文肖像画を受注するようになっていきます。
中でも特に驚いた(笑えた)のが、「酸化絵画」と呼ばれる、銅板に尿を掛けて「描かれた」作品。なんでもビタミンBを多く取っていた同僚の尿のものが、特に発色がよくお気に入りだったのだとか^^;
ただ一方で、作品展自体ではあまり語られないのですが、40歳頃に知人に銃で撃たれるなど、決してその人生は平坦なものではなかった、という一面も伺えます。
「僕についてすべてを知りたいなら、僕の絵と映画、そして僕の表面を見るだけでいい。そこに僕がいる。裏には何もない。」の自身の言葉は、大量生産というその作品の性質から、そのまま額面通りに受け取ることもできるし、心の中をあれこれ詮索しないで欲しいという拒絶にも受け取れます。
一見、芸術とはかけ離れている世界に生きてきた人のようにも見えますが、常に新しい価値観を人々に植え付けていったという意味で、ある意味芸術家だったといえるのかもしれません。